フランスで知られる日本人歌手は、誰だと思いますか?
おそらくほとんどの人の答えが当たらないでしょう。
色々な見方がありますが、そのひとつに「法定訳詞創唱者」が挙げられます。
と言うのも、この30年程の間にSACEMやJASRACに登録された日本語詞は、原作者が歌手のプレス前音源を聴いて気に入ったものが大半だからです。
一例として、シャルル・アズナヴールは自身の大切な反戦歌「美しき絆」を堀内環の歌唱を聴いて「法定訳詞」登録許可を出しました。
単にカヴァー申請に対する訳詞許可だけの「日本語詞」は、日本のサブ・パブリッシャーとフランスのオリジナル・パブリッシャー間の紙一枚(今はメール)で、誰が歌うかは不問。まして無申請・無許諾の詞(本来「作詞」と表記)は・・・・・。
シャルルは、自身にとっても大切なこの歌を、菅原洋一、瀬間千恵、ジャクリーヌ・ダノ、シャンソンの妖精などが参加したオムニバスCDに収録する予定の堀内環の歌声を聴いて「法定訳詞登録」を許可。
更にフランス・シャンソン芸術協会創設会長カトリーヌ・アトラニは最高位シャンソン・ディプロム「グローリア」を菅原洋一・瀬間千恵と共に堀内環に与えています。
今までの堀内環の歌唱法とは、あきらかに違う「歌い方の引き出し」要求に対して幾度も録りなおし。
「加藤さんのこの部分への思いはどんなもの?」
「どうしても声の響きを残したくて伸ばしてしまうけど・・・・・」
とにかく、その熱心さには驚愕。
本当に実力ある人だからこそ、レコーディング・プロデューサーとしての僕の勝手な注文に完璧に応えて歌唱してくれたと感謝。
そして出来上がったCDは、堀内環門下生の間でも話題に!
「堀内先生がこうした歌い方をされるのは初めて聞きました」
少なくともトラック・ダウン前の音源を聴き、「法定訳詞創唱者」として、シャンソンの父と称されるシャルル・アズナヴールが認めたことは、誇るべきことだと思います。
付け加えると堀内環は、先のシャンソン・ディプロムで優秀な指導者に与えられる「プロフェッソール」も受証した日本唯一の歌手&指導者です。