コラ・ヴォケールは晩年、
「クープレ」と「ルフラン」の歌い方を逆にしました。
そして、デジャゼ劇場で共演した時、こう言いました。
「客席が心の中で歌うメロディーに、私は言葉を添えるだけ」
モーリス・ファノンは「シャンソンの三大要素は、祈り・願い・叫び」
だと教えてくれました。
少しでも、フランス人が歌うフランス語のシャンソンのエッセンスを
吸収できないものかと、永年苦労してきました。
ところが、この1ヶ月間の「シャンソンの応接室」を開催する中で
全く別の価値観を知り、急に思い立って
(自分の録音など考えてもみなかったのに)録音する事に!
その根底にあるのは「共通の感情を共有する」という事。
今まで「歌う」事に力を注いでいたのは
「娯楽」を求める人達の期待・希望に添うという事。
今たった一人の人でもいいから「想いをひとつに」したいという考えが
大きくなって来ました。
タンゴの阿保郁夫さんが
「若い頃には100人のお客様全員に拍手をしてもらえる事を
良しとした側面があった。
でも今は、たった一人でもいい、心に寄り添ってもらえれば・・・・・」
と話された事を思い出します。