日本のシャンソンは、宝塚と銀巴里の存在で大きく発展。
銀巴里閉店後も、東京を中心に全国各都市で客席50席前後の
小さなシャンソン・ライブハウスを中心に、隆盛となりました。
ところが、今回の新型コロナウイルスの影響で店を閉めざるを得ない
状況が生まれ、どの店も存続が危ぶまれています。
まず何より歌手が歌う場をなくし、ピアニストたちも劇場をなくし、
お客様も聴く機会をなくし・・・・・。
芝居の世界では「役者殺すにゃ、刃物は要らぬ。舞台が3日なけりゃいい」
と言われますが、歌手も演奏者も同様。
ステージと客席が心と心を結びあってこそ生まれるシャンソンの醍醐味は、
ネット動画では味わえません。
すぐれた歌手や演奏者を育てるのは、感受性豊かな観客です。
カメラに向かって録画の為に歌い、演奏する事で、またそれを鑑賞する事で
帰結する新しい音楽のパターンは、音楽の在り方の新しい方向性かも知れません。
でも、本来「祈り・願い・叫び」が3大要素だと言うシャンソンについては、
やはり「同じ空間で同じ体験をすることによって共通の感情を共有する」
のでなければ。本質がかわってしまう気がします。
小規模なライブハウスで歌われる事の多いシャンソンが、
この先どうなるのか不安でなりません。