シャルル・アズナヴールが我々に伝えてくれた歌唱法については、
随分多くの方々から「目からウロコ!」の反響がありました。
しかし、最も声高に叫び、継承すべきなのは彼の歌に対する思いと、
生涯貫いた主張です。
決して恵まれたルックス・身長・声ではない彼が、シャンソンの父と
称賛されるに至った陰には、並々ならぬ努力がありました。
ピアノの上に乗り、立ち上がって歌うパフォーマンス(1972年オランピア)、
服を着替えつつの歌唱(50代まで)、手話を交えたステージング(生涯)、
数を挙げたらキリがありません。
何より「家族や仲間との絆」を大切にしたこと。
そして<平和希求>の思想。
私への最後のプレゼントは、自宅の農園で育てたオリーヴの木から搾った
「オリーヴ・オイル」。わざわざフランスから1ℓ缶を持参して
「あなたの健康の為に」といって手渡してくれたのは、
私が「重症筋無力症」から回復途上であることへの心配り。
自分が骨折から完治しない痛みをかかえつつの厚意には、ただ涙。
最後に大阪でかけてくれた言葉「オリーヴは平和のシンボル。体を大切に、
加藤ハツさんが言うように、平和を歌で訴え続けて下さい」
に込められた平和希求を貫く生き方は、我々が継承すべきものだと
心に刻んでいます。