----『毎日新聞 10月3日』記事より----
94歳で死去したフランスを代表するシャンソン歌手、
シャルル・アズナヴールさんと1989年から親交がある
日仏シャンソン協会日本支局(名古屋市)の加藤修滋支局長(69)
は、1日夜に入った悲報に「9月の日本公演で元気に歌ったばかり
なのに信じられない」と肩を落とした。
加藤さんはアズナヴールさん作曲の「青春という宝」「不滅のアーティスト」
など7曲の歌詞を日本語訳し、フランスの著作権団体(SACEM)に登録
されている。2004年にSACEMの特別功労賞メダルを授与された。
加藤さんの母ハツさん(14年に92歳で死去)はシャンソン歌手に舞台を
提供し、アズナヴールさんから「日本のシャンソンの母」と呼ばれた。
加藤さんも88年、シャンソンを通じて日仏文化交流を進めようと
名古屋市千種区に日本支局を開設し、
ライブハウス「カフェ・コンセール・エルム」を開いた。
エルムを拠点に親子でシャンソン歌手を育成し、加藤さん自らライブで
ピアノ伴奏している。
94年に加藤さんは、シャンソンの普及に努めたとして仏政府から芸術文化勲章
シュバリエを受章した。その活動などで、フランスは名古屋が日本のシャンソンの
中心地と認識されているという。
加藤さんとアズナヴールさんの出会いは、89年に日本の歌手を連れて行って
初開催したエルムのパリ公演。代表曲の「青春という宝」の日本語訳詞を見せて
許諾を得た。アズナヴールさんは68年に日本公演を始めて日仏の文化交流を
重ね、今春に旭日小綬章を受章した。来日11回目となる9月公演は東京と大阪
で開催され、同行した加藤さんは「あなたの健康のために」と、アズナヴールさんの
名前を付けたオリーブオイルを土産にもらった。
悲報は1日午後9時過ぎ、日本支局パリ駐在員からメールで知らされた。
加藤さんは「アズナヴールは9月28日にフランスのテレビで『100歳まで生きる』
と話していた。ワインを飲んで朝風呂に入って亡くなったのを発見されたと
聞いている」と話す。