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遺された平和への願い

 92歳、現役女社長のまま逝った、加藤ハツ吹上文化サロン館長

の書き記したものが見つかりました。

 

 冒頭「ありがとう!!今日まで生かされたことに感謝します」と

書かれた文字に、すべての思いが集約されていますが、

「現在の様な状態のまま去る事は断腸の思いです」と続けられていました。

 

 「父は植物学者として自分の意志を貫き、教師としても良き子弟を

育てました。母は世の為になることを信条に、内助の功に徹しました。

両親の生き方を考える時、現状がみじめであっても許してもらえると思います。

 私が全てを失ったとしても、それが修滋の音楽活動にいきるとあれば、

私もまた母と同じ気持ちです。」

 

 「音楽が言葉も国境も越え、世界の人の心を結ぶ素晴らしい力を持っている事は

万人の認める所です。ただ、その活動によって不幸になる人があってはなりません。

 私の人生でただ一点の悔いは、エルムを拠点に一生懸命活動して下さる皆さんに対し、

何一つ応えられず、生活の心配や不安を抱かせていることです。お許しください。」

 

 「あの戦争さえなければ、このような思いを皆さんも私もせずに済んだはず。

やはり平和でなければ…と切に祈るばかりです。平和でなければ文化は育ちません。」

 

『月刊なごや NO.385』より


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