アストル・ピアソラの言葉に「踊ることを拒絶する」との主張があります。
私たちのタンゴ・バンド「タンゴ・デ・ラ・エスペランサ」への讃辞の中にそうしたものも含まれていたのでしょう。
当時、ピアソラの音楽はアルゼンチンでも異端児視され、ダリエンソ楽団のような踊りやすいオルケスタが全盛でした。
サルガン・デ・リオのように音楽性の高いドゥオですら好まれませんでした。
そんな時ピアソラのサウンドにかぶれていたエスペランサの存在は彼にとっても好ましく写ったのでしょう。
芸術は、常識への挑戦で要するに非常識との斗い。
私たちが、常識とは相いれない創造にこだわっていたことに対する評価に加えて彼自身がもくろんでいた新しい想像を海の向こうの国”日本”で若者が追随しているのを「ウイ奴だわい」と微笑んで下さっているのだと思っています。