故・永田文夫先生が設立された、日本最初の総合的シャンソン研究&歌唱研修期間「永田文夫シャンソン研究所」からは、たくさんの優れた歌手が輩出されました。
その理由の一つに、アドバイザー陣の幅広さが挙げられます。
シャンソンの美輪明宏、瀬間千恵、ジャクリーヌ・ダノ、カトリーヌ・アトラニ、
タンゴ&フォルクローレの阿保郁夫、前田はるみ、グラシェラ・スサ―ナ、
ラテンのマリキータ&ジロー、カンツォーネの奥則夫、
各ジャンルを越えて、国内外のアーティストが模範歌唱含め貴重なアドバイスを重ねて下さいました。
この研究所からシャンソンやラテンの各コンクールでも多くの受賞者を輩出してきました。
永田先生が審査員長を務められたシャンソン・コンクールが3つ。
私自身も4つのコンクールで審査員を務めて参りました。
そうしたことから、この20年ほどの間に、コンクール応募者の歌唱方法や選曲にも、少なからず変化をもたらすことができたのでは?と思っています。特に、シャルル・アズナヴールがこだわったマイクの持ち方と角度は、幾つものコンクールで審査員の講評でも触れられるようになり、ポップ・ノイズ、リップ・ノイズが激減したのは何よりです。
コンクールの講評では「歌のコンクールで飛んだり跳ねたりは如何なものか」(石井好子氏)、「原曲を変更し過ぎるのは感心しない」(大野修平氏)、「歌い終えた後、ソデに入るまで主人公の表情でいなくてはいけない」(永田文夫氏)等、大切なアドバイスが今も、私の記憶に残っています。
応募曲も「愛の讃歌」のような定番だけでなく、新しいシャンソンも見受けられるようになりました。
「モネの庭」「パリに恋して」「ジュテーム」等は、コンクールから広まったシャンソンで、
全て永田文夫シャンソン研究所の歌手がクレアシオン(創唱)したものです。