かつて石井好子さんが神戸のシャンソン・コンクールで
「歌のコンクールで飛んだりはねたりというのは、いかがなものか」
(というような内容)と講評。
翌年から、センターのトップ・サス中だけで歌う人が増え、
今では95%以上が動き無し。
同様の発言は、なにわシャンソン・コンクールで大野修平さんもなさっています。
この時各賞入賞もしなかった谷本耕治さんが、半年後の浜松シャンソン・コンクールで
グランプリに輝いた時、ちょっとした話題になりました。
ーというのも、浜松シャン・コンは応募がVTR、DVD(テープもOK)
というものなので、「シャンソンは聴覚のみにあらず。視覚的要素も重要」
というコンセプトが読み取れるからです。
大野さんはクープレ~ルフランの流れを無視して、いきなりサビから歌い始めた人
に対し「オリジナルを、そこまで変えてしまうのはいただけない」との発言もされ、
極端なアレンジを加える応募者が減るきっかけを作られました。
日本アマチュア・シャンソン・コンクール中部大会の審査員日比英一さんは、
往年のTV名キャスター。
はじめてシャン・コン審査をなさった時「ステージに立つ人は、歌手でも役者でも
司会者でもビジュアルが大切」とおっしゃられ、ステージへの出ハケ・立ち姿・表情・
動作の総合的なものに留意する人が増えました。
ちなみにかつて「フランス革命記念シャンソン・コンクール」と
「日本アマチュア・シャンソン・コンクール」でグランプリ2冠に輝いた奥田晶子さんを
高く評価された永田文夫さんは「彼女一人が歌い終わった後、袖に引っ込むまで
主人公の雰囲気だった」と受賞理由を述べられました。
神戸のシャン・コン審査委員長井上和世さんは声楽出身ですが、
マイクの持ち方、角度(ポップ・ノイズ、リップ・ノイズ除去と視覚的なもの両面で)
を正しく指摘する講評をされ、近年は半数以上の応募者がそれに従うようになっています。
今年の各地区大会でも、本選でも、フランス語の発言に加えて
意味を理解しないフランス語歌唱を厳しく指摘されているので、
数年経てば流れが変わると期待。
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シャンソン・コンクール審査員講評の影響
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