私が"サスペンス・ドラマ"を好まないのは往々にして殺人場面が多用されるから。
時代劇が好きな訳ではないのに時々見るのは、血が流れる場面が少なく殺人師による所作が見せ場で刀が触れ合う音しか流れないから。
その意味ではNHKで放送された沢口靖子主演の「お登勢」は、脚本も本人の演技も出色の出来。
最終回のオーラス(最終シーン)がこれまた良く、北海道へ開拓民として(流刑の代わり)渡る結婚相手と共に目にしたのが、かすかに見える荒野の地の美しさ。
人の心を晴れやかにする出色の出来。
原作も監督もカメラマンも見る人の心を明るくする術を知る人達。
主役の演技は未熟な部分があっても、その後出演した「科捜研の女」とは違った良さ。
今、役者の円熟味を増した演技を見ると、それはそれで良質な作品が役者を育てると思った次第。