日本のシャンソン全盛期を代表する歌手の一人。
仲代さんがある時こう言われました。
「こんな僕の歌を、特別味の良い酒を出す店でもない所で聴いてくれるなんて幸せだなァ」
言葉だけでなく、そうした考えですべてのステージを行ってみえた事は「エルム」と言う空間でも良く分かりました。
「交通途絶があってステージに穴を空ける事は避けたい」と言って、いつも前日入り。
翌日は、あなじみのお客様を巡って「よろしく」と。
人知れず努力を続けられました。
「僕が兄貴(仲代達矢)みたいにイケメンだったら”お口の恋人”じゃなくて”世界の恋人”イヴ・モンタンになっていたかもネ」とMCでも笑いが絶えません。
「お客様に喜んでいただきたいけれど、普通のシャンソンの店は歌えない歌がある」と言われ、毎年9月には練習を兼ねて「エルム」で新曲を歌われていました。
名曲「雨の悪戯」もこうして誕生。
単なる声勝負の歌手が多い中、仲代さんに代表されるような歌へのこだわりを貫く後輩の出現はいつの事?
私たち昭和世代のノスタルジーとして夢物語で終わらない事を願う。