銀巴里に出演するようになった人達の中では、
堀内環さんと有馬泉さんのどちらかに指導を受けた人が大半でした。
要するに歌手ではなく指導者。
私の記憶では「渡辺歌子さんはルフランを歌ったら右にでる者はいない。即ちバラード歌いの達人」と堀内さんがおっしゃられました。
私達の中には直接指導を受けた者はいませんが、
ある歌手が銀巴里オーディションの折、
「語りの多い歌はこう言う時には向きません。イントネーションが標準語でないので・・・。
工藤勉さんの東北弁のように、それ自体が売り物になるケースは別ですが」
とのアドバイスをして下さいました。
堀内さんと言えば何と言ってもロシア民謡。
歌声喫茶全盛時代の代表者にような存在でした。
「ロシア民謡なら何時間でも歌いますよ~」と節をつけつつ
「どこまで続くのかな」とヒヤヒヤしながら伴奏していました。
なにしろ予定の曲が終わると楽譜にない曲を次々と歌われるので伴奏者としては恐怖。
どうやって堀内さんの指導者としての力を見抜いたのか分かりませんが、
L’ART DE LA FRANCOPHONES(フランス・シャンソン芸術協会)のカトリーヌ・アトラニ会長は、堀内環さんに歌手としてのDIPLOME(免許状)最上級の”Gloria”を瀬間千恵さんと共に贈り、
更に指導者としての”Proffeseur”も贈りました。
日本シャンソン界の得難い人材としてその功績に異を唱える人はいないでしょう。