フランス国営TV(France2)が理想のシャンソン空間として
ライブの様子をON AIRした「カフェ・コンセール・エルム」のテーマ・ソングは、
セルジュ・ラマの作品「ジュテーム・ア・ラ・フォリ」。
この曲は、故・矢田部道一さん(新宿のシャンソニエ「シャンパーニュ」の創設者で、
数多くのシャンソン訳詞者)が、
エルムをオープンするにあたってテーマ・ソングとして
訳詞をプレゼントして下さったもの。
エルムのオープンにあたって反対されたのは
「お店の運営をすることで、加藤さんが加藤さんでいられなくなる」
と言われた美輪明宏さんと
「歌手と従業員の為に身を削るだけ」と言われた矢田部道一さん。
でも二人とも、エルムが完成したら、最大の支援者となって下さいました。
美輪さんは毎年出演を重ねて、名古屋の歌手を育てて下さり、
矢田部さんはテーマ曲を無料で提供して下さいました。
でも、原曲の男女デュエットの雰囲気とは全く違う、
手拍子のリズム・パターンに変えてオープニング・テーマ曲にしました。
S.ラマにそのことのお詫びをしたところ、
「歌は、自由な形で広がるもの」といってくれました。
ミッシェル・フューガンもサーカスの「ミスター・サマー・タイム」や
私たちがプロモーションした「ブラボー!ムッシュ・ル・モンド」について
同じ事を言っていました。
でも、シャルル・デュモンのように「愛の後のタバコ」じゃなく
「愛し合った後のタバコ」という訳にこだわったり、
モーリス・ファノンのように愛の極致は
「阿部定(この話はフランスでも有名らしい)の様に、
首を絞める時に起きる酸欠状態によってもたらされる」と言って、
「スカーフ」の日本語詞に注文をつけるケースも有。