意外なことにグラシェラ・スサーナは、永田文夫シャンソン研究所の特別講師の役を果たしました。
最も顕著なのは「ケ・サラ」の3番の歌唱法。
となっているので日本語ではめ込むと「こ~い」
と変え「こい」と歌うことを彼女は教えてくれたました。
でもそれ以上に本質的なことは、語尾を消して歌う歌唱法を教えてくれたこと。
要するに日本語では、フレーズの最後の助詞をのばして歌うことで大切な言葉がかすんでしまうのを避けるのに助詞を無声化して歌うという手法。
他にも「8分の6拍子」が2拍子と3拍子の複合リズムでフォルクローレの原型であることも教えてくれました。
何より高度なのが浅川マキの「愛さないの愛せないの」の歌い方。
「愛さないの」の「さ」はハッキリ歌う(決意だから)
「愛せないの」の「せ」は無声化して聞きとれないように(迷う気持ち)
そして、次のフレーズでは、それを逆にして心の中の乱れを表現。
寺山修司独特の言葉遊びの中の真実を見事に表現しています。