”貴方が好きで、好きで…”と繰り返し歌う「ジュテーム・ア・ラ・フォリ」は、
フランス国営テレビが”理想のシャンソン空間”と絶賛した、
エルムのテーマ・ソングです。
その作詞者ムッシュこと、矢田部道一氏ご逝去の報に接し、言葉を失いました。
日本の歌手に最も愛されたシャンソンの詞は、ムッシュの作品でしょう。
ご自身のシャンソニエ「シャンパーニュ」で毎晩、
渋い歌を聞かせてくれた彼は、博愛主義の人でした。
4月21日、宮崎の甲斐和代CD録音に際し、
彼女が最も気に入っていた曲のある方の詞が使用拒絶に遭って途方に暮れた時、
入院中のムッシュに”貴方の歌詞で歌わせて”とお願いしたところ
「了解」と快諾して下さったのが、私にとって最後の言葉でした。
シャルル・アズナヴールは、最新曲「ジュ・ヴォヤージュ」の楽譜を無料で
雑誌掲載許可してくれました。
更に、エルム20周年のプレゼントとしてCD録音許可まで!
エルム・オープン時、ムッシュも善意で詞を提供して下さいました。
二人に共通するのは、真に音楽を愛する者への愛情です。
毎晩エルムで、ムッシュの詞によるテーマ・ソング
「ジュテーム・ア・ラ・フォリ」が歌われる限り、
ムッシュは永遠に私たちと観客の心の中で生き続けるでしょう。合掌。
月刊なごや 2008年7月号 愛と人生の歌シャンソンに寄せて(加藤修滋エッセイ)より
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ムッシュとアズナヴール
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