日本のシャンソンの歴史を創ったのは、宝塚と銀巴里という人もいますが、
それに加えてユニバシアード関連文化催事として始まった
神戸の日本アマチュア・シャンソン・コンクールも加えるべきかも…。
何故なら、<新しいシャンソンを歌ってメジャー・デビュー>をしたのは、
銀巴里の丸山宏明(今の美輪明宏)、
アマチュア・シャンコン・グランプリの奥田晶子と
浜崎久美子の3人だけだから。
特に浜崎久美子は、故・石井好子さんが審査講評で
「今までで初めて審査員満票で浜崎さんのグランプリが決まりました」
と触れられたように、
その実力をフランス国営テレビはON AIRし、
シャルル・アズナヴール、ミッシェル・フューガン等
ビッグ・アーティストが絶賛するに至りました。
一方、受賞しなくとも毎年のグランプリ以上に活動をする歌手も数多く居ます。
そのアマチュア・シャンコン31回目の今年、
過去30人のグランプリ以上に後世に残る受賞者が出ました。
史上最年少11歳の柴田白梅さんで、賞の名こそ「フレッシュ賞」でしたが、
歌唱の正確さ、表現力に加えてフランス語の正確な発音は
「歌唱賞&語学賞」と名付けても良い程。
彼女が歌い終わるや、すぐ後列に座っていらした大学仏文の名誉教授が
「彼女って帰国子女?」と質問された程でした。
歌唱力でも、仏語に関しても断トツ優位の小関未央さん
(5月のプロ歌手も参加できる「東京シャンソン・コンクール」でプルミエ・プリ受賞)ですが、
楽曲そのもののクオリティに於いて、
シャルル・アズナヴールの「声のない声」との差が埋められなかったと言えます。
即ち、オペラのコンクールのように、
楽曲クオリティは基本的に同等で歌唱力を競うものと違い、
全てのシャンソン・コンクールは楽曲の良さにフォローされるか否かもひとつのポイント。
受賞をしなかった渡邉里奈さんは、
今現在のフランスのシャンソンの状況に
我々世代の審査員が付いていけない側面があることを思い知らされました。
彼女が以前、中部地区大会で歌った時、仏語発音の気になる所があって、
審査員の一人パトリック・ヌジェに質問したところ
「今のフランスの若者は、みんな彼女のような発音で歌う」と教えてくれました。
確かに、コラ・ヴォケールの美しい響きと、ZAZの響きは違うし、
藤山一郎とAKB48の歌の日本語の響きは違うのと同じ…。
奨励賞の伊藤佐知子さんは、浜松シャンコンでも聴いていて、
このところ成長著しい人で、やはり回数・年数は大切だと思いました。
受賞しませんでしたが、(5月の東京シャンコンでは受賞)西塚祥子さんも
急成長していますが、その半分以上は指導者(高瀬ご夫妻)の指導力だと思います。
今回、全国大会最年少出場は10歳、最高齢が70歳で平均年齢も年々低くなっています。
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31回日本アマチュア・シャンソン・コンクール
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