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Channel: 加藤修滋のブログ
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シャンソン歌手の憂鬱

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幾人ものシャンソン歌手から、相談される事柄有。

お客様からの食事のお誘いに追われて、
歌のレッスンに通う時間がなかなか作れないので、
同じ曲ばかりのステージになりがち…。

ケース・バイ・ケースで返答に困るけれど、
お客様にあってこその歌手であることと、
歌の伝道師たる歌手との狭間で悩むことも成長の一過程。


それと、同じ曲を歌うこととは別。
よく「お客様のリクエストに応えるために、新曲を覚えたい」と言って
レッスンに何曲も持ってくる人があるけれど、
不慣れな覚えたての未熟な曲を(リクエストだからといって)歌うのも考えもの。

伝えたい思いがあり、それに適した曲を生涯歌い続けることも歌い手の務めであり、
そもそも、その歌手のレパートリーを熟知しない人が、
他の歌手の持ち歌や流行した曲を歌うようにリクエストするのは、考えもの。


多くのシャンソン歌手は、他人の創作物を使用させて頂いているので、
せめて、その作者の思いを一人でも多くの観客に伝えようとする責務有。

ファンであれば、その歌手の、そういった思いを理解した上で、
リクエストをして欲しいと思う次第。

昔、シャルル・アズナヴールのコンサートで、
アンコール前に「雪が降る!」と日本語で叫んだ観客が居て、
ハッとしたものの、(幸運にも)アズナヴールは日本語が分からないので、
事無きを得たこと有。

アズナヴールを発掘したE.ピアフの歌ならまだしも、
彼が恐らく良くは知らないだろう(当時は駆け出しの)新人歌手の歌を
リクエストするなんて考えられない…。

とは言え、娯楽享受の場としてのシャンソン・バー的ライブ・ハウスは、
当日、誰が歌っているのかも知らずに入って来られたお客様が、
青春時代の想い出の歌をリクエストされた時に、
どう対応したら良いか悩む歌手の気持ちも分かる。

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