カクさんこと桑原伸二の照明なくして今日の「エルム」コンサートは語れない。
フランス人好みの歌唱を「エルム」の仲間達が出来たのも、カクさんの独創的なライティングのお陰。その彼の照明のハイライト・シーンを集めたDVDを見た。改めて、その歌手に寄り添った照明創りと共に演出家としての才覚まで持っている事を再発見した喜びと懐かしさに浸っています。
DVD冒頭は、同じ楽曲を2年連続行ったコンサートでミラーボールの使用方法を全く変えている(!)
最初はミラーボールを半吊り(舞台の途中)にして輝きを表現、2年目は普通吊りをする代わりに紗幕をセンターから左右に開きつつ、バックライトで歌手をシルエット化し「光と影」を表現。
▼YouTube/シャンソン演出
次の楽曲「チキータ」では舞台監督の池田正行氏を「スマイリー小原」風のアクション指揮で5人のブラス&リード楽器に照明を合わせている。
3曲目の「デカーレ」では、ヴォーカルの動きとドレスを生かし、バック・コーラスの私と2人が浮き立つ照明。カクさんの照明は、基本的にバンドを見せないのが特徴。それゆえ歌手が視覚的に浮き立つ。
「ノートルダム・ド・パリ」紹介コーナーでは、天井までの鏡(正確にはまぶしく反射しない為に、アクリルを使用)に当てたライトの幽玄さが見事。もち論、巨大な2本の鏡はノートルダム大聖堂の尖塔に合わせたもの。大変だったのは、ローソク100本を使ったので消防法により「ローソク1本につき消火器1台と水を張ったバケツ1つ」との命令(!)
日本では客席でライター使用禁止、パリでは問題なし!
この時は2kwのスポットを持ち込み、シルエットでダンサーを浮かび上がらせ、歌手はバック真暗で本人のみくっきり。
「まるでお芝居のように」では、額縁の中に外人ダンサーを入れフォト・スタジオでの撮影風にフラッシュを使うのだが、広い劇場では光量不足。それを照明がフォローすると言う技。
▼YouTube/青山桂子「まるでお芝居のように」
「名古屋巴里祭2015」では、カクさんのポリシー「バックは暗くしてバンドを見せない」の手法が徹底されている。これこそ彼の真骨頂でパリ公演の折にお土産としてDVDを差し上げたフランス人アーティストは皆絶賛していました。
▼YouTube/清水美帆「病の果てに」