私と一番永い付き合いの外国人歌手はグラシェラ・スサーナ。
彼女が初来日し、小澤音楽事務所アーティストが多く出演した新宿「ルイード」で出遭って以来。
その歌声に魅了されたmssの仲間3人が5万円づつ出しあって
(当時、私の初任給は3万円、他の2人は会社員で月収5~8万円)
勤労会館で彼女のリサイタルを開いたのです。
その時、彼女は17歳だったと思います。
しかもオリジナル曲ではないのに最初のLPは「牛車にゆられて」のようなフォルクローレ。
レコード会社が変わっても「アドロ」「サバの女王」等外国曲のカバー。
最終的には出したLPレコードを縦に積むと富士山より高くなるとの伝説も生まれました。
エルムには、彼女の映像がたくさん残されていますが、何と言ってもタンゴとフォルクローレだけのギター弾き語り映像が絶品。
エルムでは、これに似たスタイルのライブがよく開かれ、
フォルクローレしか歌わないロス・インディオスや
タンゴしか歌わない菅原洋一さんは
当時では考えられないような企画を実現させて下さいました。
永いお付き合いの間には、色々な出来事がありました。
重度の糖尿病と自宅の火災とで視力が殆どなくなった時、エルムの歌手たちがカンパをして日本で手術。
それなのに帰国後すぐウィークリーマンションで盗難にあって薬も盗まれてしまう災難も。
最後の来日の折、帰国前日の深夜、彼女は私のオリジナル曲を録音してくれました。
今、元気かどうか分かりませんが、美しい思い出はいつもこの胸に残っています。