50年を超える音楽活動の中で、幾つもの貴重な体験をして来ました。
特に20回を超えるパリ公演の折の楽屋話。
印象的だったのは1994年5月のデジャゼ劇場でのこと。
当時、既に私の親友となっていたジャクリーヌ・ダノの日本公演での成功について、カトリーヌ・ソヴァージュやジョルジュ・シュロン等、多くの出演者たちから質問を受けました。
その中で、ジャクリーヌ・ダノが「見果てぬ夢」や「フランソワ(ジャック・ブレルがジャクリーヌ・ダノの為に「マチルダ」の詞を女性版に変えてプレゼントしたもの)」を必ず歌うのに「行かないで」はどんなにリクエストがあっても絶対に歌わないという話題に。
ジャック・ブレルと親しかったイザベル・オーブレが「それは、主人公となる女性がジャクリーヌ自身だからよ」と言ったことに誰もが驚いたこと。
更に、イザベル・オーブレはいたずらっぽく笑いながら「ムッシュ・カトウはカトリーヌ・ソヴァージュの若い恋人だって噂されてるのも知ってる?」と・・・。
私がキョトンとしていると「引退したカトリーヌがあなたが発起人となったモーリス・ファノン追悼には、こうして2回も出演したので”奇跡のカムバックの陰には、東洋の若いピアニストの力があった”と報じられたのよ」
通訳も、いささか狐に騙されたような顔で教えてくれました。
「バルバラも、アンナ・プリュクナルも新しく彼が出来ると奇跡のカムバックをしたと言われているので」・・・・・そう言われても???